意なく質なく固なく我なし

(いなくひつなくこなくがなし)

この格言は、自我を没却した心の状態を示したものです。
「意」とは、自分の主観だけで物事を判断することです。
「必」とは、自分の考えを無理に押し通すことです。
「固」とは、一つの判断に固執することです。
「我」とは、自分の立場や都合だけを考えることです。
したがって「意なく質なく固なく我なし」とは、
自分勝手な考え、無理押し、頑固、自分本意の行動がまったくなく、
自然の法則にしたがって生きるということです。
いいかえれば、広い視野に立って客観的に物事を判断し、
他人の意見に十分に耳を傾け、そして、
すべてのことに広い心をもって柔軟に対応し、
どのような場合でも相手の立場を思いやって行動することです。
モラロジーでは、自我を没却することは、結局、自分自身にも、
社会全体にも幸福をもたらすことを教えています。
               広池出版 心のカレンダーより