私の健康法

皆さんからの投稿をお待ちしています。



2003年11月26日 9:07 中川 賢治

地方の新聞の健康欄に投稿を頼まれて掲載されたものです。
喫煙されている方には頭の痛い内容ですが、 全身への影響は皆さんのほうが詳しいかと思われますが、口腔への影響も無視できませんので気を付けて下さい。

寺西君、体を大切にして下さい。
(麗高空手部の隣同士で写っている全員写真時々見ています。)

〔喫煙と歯周病〕
 歯の喪失の主な原因は、う蝕と歯周病が90%以上を占めています。なかでも歯周病による歯の喪失は、 一般に女性よりも男性のほうが多く、また高齢になるに従って急速に増加するといわれています。
また、 う蝕も歯周病も歯垢(デンタル・プラーク)に起因する疾患でありますが、一方では、生活習慣が強く影響する “習慣病”ともいわれています。
この生活習慣などを含めた歯周病の発病・進行を限定する因子あるいは発病・進行の予測に役立つ因子を歯周病の危険因子(リスクファクター)と呼んでいます。
 
喫煙の身体への影響については知られておりますが、口腔とその周囲への影響についてはつい最近まで余り知られておりませんでした。
歯科医師自身、喫煙が歯面への着色の原因であることはわかっていましたが、う蝕や歯周病を引き起こしたり、 進行に結びつく因子としては考えておりませんでした。しかし、現在までの研究から喫煙はプラークと同じように歯周病 の最大の危険因子として挙げられています。

それではなぜ喫煙者では、歯周病が重度になる傾向があるのでしょうか?
喫煙者に見られる重度の歯周組織破壊の原因は、 プラークの付着量や細菌だけの問題ではないようです。

タバコの煙の中に含まれる物質によって以下の二つの免疫機構 に変化が起こり、歯周組織破壊が進行すると考えられています。その一つは、病原菌の感染に抵抗する、正常な私た ちの体の生体防御システムが傷害されること、もう一つは周囲の健康組織を破壊する方向に作用する私たちの体の応答 システムが過剰に刺激されることが挙げられています。
たとえば、喫煙者では口腔内で微生物の活動を無力にするために必要な唾液中の抗体(IgA)の量が減少したり、さまざまな病原微生物の感染を阻止する役目を担っている好中球やリンパ球の機能が低下します。
すなわち、タバコの煙の中の物質が、私たちの体が生まれつき持っている、外敵に対する防衛力(免疫力)を弱めてしまいます。また、創傷治癒(傷口が治っていく過程)の際に関与する線維芽細胞にニコチンが蓄積すると、 細胞の歯根面への付着能力が傷害され、形態も変化し、正常な歯周組織の創傷治癒過程が傷害されるといわれています。さらに、骨中の無機質量が 少なくなる傾向にあることも明らかにされ、歯周病の急速な進行に影響することになります。

以上のように、今までの多くの研究から、 喫煙が歯周病の進行に大きく影響していることが明らかになってきました。したがって、私たち歯科医師が率先して禁煙指導に取り組んでいかなければならないと思います。