新居英治君より

私は さだまさし の大ファンで、曲もいいですが、彼の詩は
日本語って、こんなに美しいものか、と思わせる作品が多い。
そして、同じくらい、強いメッセージを聴く人の心を共鳴させる
時として力を見せる。この歌ごぞんじでしょうか?
もし、まだなら、是非一度、聴いて見てください。

「償い」 作詩・作曲:さだまさし

月末になるとゆうちゃんは薄い給料袋の封も切らずに  必ず横町の角にある郵便局へとび込んでゆくのだった  仲間はそんな彼をみてみんな貯金が趣味のしみったれた奴だと  飲んだ勢いで嘲笑ってもゆうちゃんはニコニコ笑うばかり  僕だけが知っているのだ彼はここへ来る前にたった一度だけ  たった一度だけ哀しい誤ちを犯してしまったのだ  配達帰りの雨の夜横断歩道の人影に  ブレーキが間にあわなかった彼はその日とても疲れてた   人殺しあんたを許さないと彼をののしった   被害者の奥さんの涙の足元で   彼はひたすら大声で泣き乍ら   ただ頭を床にこすりつけるだけだった     それから彼は人が変わった何もかも   忘れて働いて働いて   償いきれるはずもないがせめてもと   毎月あの人に仕送りをしている  今日ゆうちゃんが僕の部屋へ泣き乍ら走り込んで来た  しゃくりあげ乍ら彼は一通の手紙を抱きしめていた  それは事件から数えてようやく七年目に初めて  あの奥さんから初めて彼宛に届いた便り  「ありがとうあなたの優しい気持ちはとてもよくわかりました   だからどうぞ送金はやめて下さいあなたの文字を見る度に   主人を思い出して辛いのですあなたの気持ちはわかるけど   それよりどうかもうあなたご自身の人生をもとに戻してあげて欲しい」     手紙の中身はどうでもよかったそれよりも   償いきれるはずもないあの人から   返事が来たのがありがたくてありがたくて   ありがたくて ありがたくて ありがたくて     神様って思わず僕は叫んでいた   彼は許されたと思っていいのですか   来月も郵便局へ通うはずの   やさしい人を許してくれてありがとう     人間って哀しいねだってみんなやさしい   それが傷つけあってかばいあって   何だかもらい泣きの涙がとまらなくて   とまらなくて とまらなくて とまらなくて


 

「春告鳥」(はるつげどり)作詩・作曲:さだまさし

October 20, 2003 12:48 AM
言の葉をちりばめた 古都もののお歌も沢山あります。
もし、まだ一度も聴いたことのない方は是非
聴いて下さい。
私は日本語のお風呂にゆったりと浮かんでいる気分になれます。

衣笠の古寺の侘助椿の (きぬがさのふるでらの わびすけ の) たおやかに散りぬるも陽に映えて (たおやかにちりぬるも ひにはえて) そのひとの前髪僅かにかすめながら (そのひとのまえがみ わずかにかすめながら) 水面へと身を投げる (みなもへと みをなげる) 鏡のまどろみのくだかれて (かがみのまどろみの くだかれて) 錦の帯の魚のふためいて (にしきのおびのうおの ふためいて) 同心円に拡がる紅のまわりで (どうしんえんに ひろがる べに のまわりで) さんざめくわたしの心 (さんざめく わたしのこころ) 春の夢 朧気に咲き (はるのゆめ おぼろげに さき) 春の夢 密やかに逝く (はるの夢 ひそやかに ゆく) 古都の庭先野辺の送り (ことのにわさき のべのおくり) ふりむけばただ閑かさ (ふりむけば だだ しずかさ) 化野の古宮の嵯峨竹の (あだしの の ふるみや の さがたけ の) ふりしきる葉洩れ陽にきらめいて (ふりしきる はもれび に きらめいて) そのひとのこぼした言葉にならない言葉が (そのひとの こぼした ことばにならない ことば が) 音も無く谺する (おともなく こだまする)  足元に蟠る薄氷に (あしもとに わだかまる うすらひに) 靄めいた白い風立ちこめて (もやめいた しろいかぜ たちこめて) 春告鳥の問いかける別離に (はるつげどりの といかける わかれに) たじろぐわたしの心(たじろぐ わたしのこころ) 春の夢 朧気に咲き (はるのゆめ おぼろげに さき) 春の夢 密やかに逝く (はるのゆめ ひそやかに ゆく) 古都の庭先野辺の送り (ことの にわさき のべのおくり) ふりむけばただ閑かさ (ふりむけば ただ しずかさ)



春告鳥 とは うぐいす のことだとか。