心に残る言葉

栗林 信彰
【コラム】三山春秋  平成22・3・1

▼早春の日差しを浴びながらの散歩は至福の時間だ。前橋市の郊外。小鳥のさえずりが聞こえた。見るとカワヅザクラの蜜(みつ)を吸っている。若いカップルが通りかかった。

▼「ウグイスだ」「違うよ。あれはメジロ」「でもうぐいす色だよ」「メジロはうぐいす色なんだよ」。聞いていて思わず噴き出した。「うぐいす色のメジロ」。確かにそういう色があるのだから、日本語としては正しいかもしれないが、どうもしっくりこない

▼昨年秋にドライブ中、ラジオのアナウンサーが「オレンジ色の柿」と表現したのを聞いた。しばらくすると、今度は「だいだい色に近いですね」と言い直したが、やはり変だ

▼昼休み時間に職場でこの話をすると盛り上がった。同僚たちは色表現と現物のおかしな取り合わせを次々に考えたからだ。
「山吹色のヒマワリ」「すみれ色のフジ」「栗色のサツマイモ」「みかん色のビワ」。極め付きは「ねずみ色の猫」

▼三原色はともかく、中間色は動植物の名前を付けていることが多いので、花と花、野鳥と野鳥のように同じ仲間の色で表現すると違和感を覚えてしまうのだろう

▼色は季節にも例えられる。古代中国の五行思想では青春(青)、朱夏(赤)、白秋(白)、玄冬(黒)とした。青は緑のこと。「麦青む」「青き踏む」などは春の代表的な季語だ。〈石畳つぎ目つぎ目や草青む〉(一茶)。きょうから3月。