[詩 集]

ZYXの順です


ここから1Bの詩

「起床」
吉岡 登

朝6時 「カーン」と一発
僕達1年生はとびおきる
学園の朝が始まる
一日の日課が始まる
バケツをとる ゲタをはく
一目散に洗濯場へ
カネがなりおわる頃 「点呼ーー」
「おはようございます」
元気にはずむ声
今日もすばらしい朝だ 元気で行こう

「せんろ」
依田喜隆

ずっしりとしたせんろ
川を渡り
野を通り
丘を越えて
仲良くどこまでも続く線路
その上を電車が走る
何もいわない
今日も 
明日も
 またその次の日も
電車は走る

「芝」
横田安男

青くてすがすがしく感じさせる芝よ
おまえはなぜそうも美しくみえるのだ
でもおまえの苦労も大変であろう
小さいころは大事にあつかわれたものだった
大きくなった今日 名も知られず踏みあらされて
それでもおまえは生きようとがんばっている
俺は思う おまえのどこにそういう根性があるのだろう
そしておまえたちの気持ちが知りたい

「自然」
八木紀子

自然は不思議なものだ
自然をみると
私の心ははずかしいという
自然は私の心を語っている
良い行いをし気持ちのいいとき
自然は草花を咲かせ楽しませてくれる
悪い行いをし苦しんでいるとき
自然は風を呼び雲を呼び
草花をみな死なせてしまう
自然が荒れると自分の心をうたがう
すばらしい人間になったら
自然はいつも美しい自然である
いつも平和な自然を好む
夏はすぎ木の葉が色づく
私はひとり細い道を歩く
ヒラッと地におちてきた木の葉
それを手にとり 枯れ葉のあなから
 そっと秋をみる
何かさびしいものにおそわれる
何かさびしいものにおそわれる
何か孤独におそわれる
やがて寒さがやってくる
寒い冬が
その冷たさに
又さびしい思いをするだろう
又孤独を愛するようになるだろう

「封筒」
渡辺貫一

封筒はつまらない
封筒の中は大切だが
封筒には関係ない
切手をはられポストに入れられ
相手に届けば頭を破られ
封筒は全く無視されている
私はそんな封筒に同情する
他人から無視され
利用だけ
 されるだけされて
あげくの果ては捨てられる
そんな人を私は作りたくない
私はそんな人を救いたい

「僕の僕」
友野貴夫

一人の僕 孤独な僕 どうしたらこの寂しさつらさが
 なくなるのだろう
それは自分で自分の心に欠をつけさせることだ
どうしてこういうふうになったかを もう一度よく考えることだなあ
しかし自分で一生懸命やっても 出来ないことがあるだろう
それはまだ自分にあまえているのだ
自分自身を自覚してよく考えて
実行をすることだな だけど
 自分でよく考えてやったこと
でもそれを他人からみとめられなかったら
どうするんだい
それは他人の心 
考えの中に入れていないからだ
他人を自分自身にたとえて実行するんだ
それでは自分の幸福が得られないではないか
他人から喜ばれ信じられることが
幸福ではなかろうか
じゃ 君は僕がさみしいのも
 つらいのも 全部自分の考えが甘い
 又自分のことを 計算にいれて行動をやっているからだというのだね
そうだそうすれば 
君はみんなから信じられ
毎日が夢のように楽しい日が送れることだろうよ
 がんばれよ

「青空」
戸松登美子

青い青い
 すみきった空 遠い遠い
 空のかなたに
青空はどこまでもつづく
山のむこうのそのむこう
ずっとずっと
 つづく
広い広い海越えて
深く深くすみきったように
青く青く
 どこまでもつづく

「時」
徳田順子





楽しい時
苦しい時
おまえはいったいどこへいってしまうんだ
一時でさえ
私を待ってくれないで
早くすぎる時 おそく歩む時 いつも
 おまえは私をおいてきぼりにする

「学園の朝」
辰巳三郎

すがすがしい空気にうずもれた学園
霧にとざされた山々
どことなく太陽の光線が
この学園の一日を知ろうとする
が 
濃霧は学園を包み
人の心も冷たくする
正義と悪の決闘だ
やがて悪はほろびる
すがすがしい清らかな太陽は
一日中学園を照らす
私達のために
私達の幸福のために


「母」
田村久美子

母は空気
空気はなくてはならないもの
どうしても 
どうしても なくてはならないもの
それは
私の母
母から人生を学ばねばならぬ
初めて「母」を知る事ができた
○○○○何も考えず 
感謝もせず ○○的で
小さな母 今初めて知った
「母」という存在を 私の母を
やさしい母 やっぱり
 空気のような母
○は判読不可能のため
田村さん覚えていたら教えて下さい。


「ボックス」
竹内心一

僕はいつもそこに入って勉強する
  そこは僕の天国だ
 そして僕のものだ 僕はいつもそこに入って考える
  誰にも邪魔されない
 そしてそこは僕 たった一人の世界だ
僕はいつもそこに入って励まされる
 まわりを見てみろ
そこには「ファイト」「勉強」
 色々な紙が貼ってある
 そしてそれを見るたびに僕の闘志が目をさます
僕はいつもそこに入って心を落ちつける
  今日起こった事の反省
 そしてあわただしい寮生活から脱出する時
  明日への希望と闘志を生み出す
  一日の寮生活の終着駅
  そして僕の天国だ

「目覚め」
高柳達雄

吾 
ここに存在せり
一瞬間を刻むために
神は私という一分子をこの世に送った
この間は
 地球歴史の一まばたきにすぎない しかし記録は
 永遠に残るであろう
今の私は一市井人にすぎない
ごく平凡な生き物だ
しかし私には生命がある
だから心理を求めて生きつづける
まわりには誘惑がなんと多いことよ
しかし私はそれに目を向けない 生涯は短い
 けわしい 真理だ
私の目ざすものは真理のみだ
立て
おまえよ早く立て
強く強く生きるのだ
神よ
私に苦痛を与えよ
苦しみこそ生きがいだ
私は心理に向かって
なおも生きつづける

「自然」
高橋和子

自然をじっと見つめるとき
私は思う 自然はなんてすばらしいんだろう
この大宇宙を包む
広大な自然 野に山に
川に森に その中に住むアリたち
アリは自然のとりこになって
うろつきまわる はてしない自然の中を

「はにわ」
杉井康夫

神秘の光をなげだしている
何か無気味な静かな姿だ
これが何百年
 何千年前の
世界を見てきたのだ
ある時は雨にうたれ
ある時は陽に照らされ
ある時は地の下に埋まり
自分の姿を守りつづけてきたのだ
なんと美しいんだろう
われわれ人間が死んでも
はにわの目は時代を見てるだろう
そして何年
 何百年
いや何千年と
生き続ける
美しいはにわ

「時」
塩沢富久江

ある時
私のよき社員
ある時私の憎き上役
私の味方と敵を兼業している実業家

「朝礼」
進藤禎子
朝礼の時
 まず家にあいさつする
「お父さん お母さん 今日こそは頑張ります」
そのあと元気に体操する
体をそらせて
 上を向く
わぁすてき まっ青な空
 どこまで青いんだろう
すいこまれそうだ さあ
 今日も頑張ってやらなくちゃ

「人間」
渋沢利徳

人間なんて愚かなものよ
子供が生まれたとかいっては喜び
死んだからといって悲しむ
人間なんて愚かなものよ
悩むばかりだ
ただ悩むばかりだ
ただ苦しむばかりだ
死ぬまで苦しみ悩み
 せっせせっせと働いている
一生涯
働くんだ そして
 死というものに一歩一歩近づいている
ただそれだけのことなんだ ただそれだけのことなんだ
馬鹿野郎 皆死なないでくれ
死ぬな
死んではだめだ
生きるんだ
生きるんだ ずっと
 ずっと
生きるんだ
 そして働くんだ
俺だって
 俺だって・・・・

「秋」
関俊章

秋がくると景色一面が変わる
田畑は収穫で忙しくなる
軒下には大根が干される
もうすぐ冬がきて
一年が終わる
何かさみしく
悲しい気持ち
その反面
 読書孤独を感じるには
もってこいの季節
やはり秋はいい感じもする
いや何事も秋が一番だ
秋だ 秋秋秋秋・・・・

「空」
佐々木道治

僕の上に空がある
雄大な空 おこりっぽい空
静かな空 空はくもをかかえている
色々印象を与えてくれる雲を
空には小ささがない
人間なんて物ともしない
しかし空にも文明が現れてきた
変な鳥がまっすぐ飛んでいった
煙を残して・・・
未来はどうなるのだろう
僕には分からない
空は実に雄大なのだ
実におおらかなのだ
その中に自分は・・・
飛びこんでいくだろう
みんなもいく
広大な空を開拓していく
努力と体力
 強い精神をもって
僕達の空へ

「起床」
折橋淳男

「カーン」「起床」
一つ目の鐘が鳴ると同時に
九人の声がいっせいに「起床」という声に変わる
障子を開けるとすごいダッシュで玄関を目指して走る
みんな真剣だ
後からあわてて走ってくるのもいる
「ドタバタ」「ドタバタ」と廊下をいきおいよく走る
片手はバケツをつかんでいる
時にはまちがえたのかあわてたのか
ほうきやまくらをもって走っているものも目につく
あの狭い玄関に一斉におしよせる
生存競争はがげしい
僕の前に道はできつつある
少しまごついていると先を越されてしまう
だからおちついてはいられない
帰って来るとみんな廊下に立っている
ようやく一日目のテープが切れる訳だ

「もくせい」
西村幾代

神無月
池垣のはたを通る
甘ずっぱく
気品ある香り
どこだろう
思わず立ちどまる
池垣のずっと奥だ
青空の中の
小さな黄色い花から あふれでて
一面にただよう 夢の中に
私を誘う
気品ある香り
もくせいの香り


「無題」
中村道明

俺は黒い夜空を見た
夢幻の空を ただ一つ大きな丸い月が浮いている
 白く
 丸く
 冷たく
俺を見ている
突然雲が俺から奪うように月を隠した
俺はどなった
俺の見た月は何だろう
 幸福か
 自由か
そんなものではないかも知れない
だが俺から何かが隠れた

「汽笛」
長尾久美子

汽笛がきこえる
しかし私のところから汽笛はみえない
夜の汽笛は何か私を郷愁のの思いで いっぱいにしてしまう
私は夜汽車が嫌いだ
夜の汽笛も嫌いだ
夜汽車の窓から見える遠い町の光を
みるのはとっても寂しくてたまらない
一刻でも早く家にもどりたい気持ちが
非常に強くなる
しかし汽笛はきこえる

「花と私」
三戸森剛

野原に咲く一輪の白い花
おまえは美しくないけれど
かわいいな
名は
年は
そうだ
おまえを持って帰ろう
待て
 おまえはここにいてこそかわいいのだ
私は帰るよ
 おまえをおいて


「自然」
松本健

宇宙と地球
天と地
海と山 これらを人間は自然と呼ぶ
風と月
花と鳥
火と水
これらを人間は自然と呼ぶ
自然とは何か
大きい物か
小さい物か
美しいものか
 みにくいものか
自然は平和だ
これらを人間は自然と呼ぶ

「時計」
松井みどり

コチ コチ コチ
なぜそんなに急ぐのか
おまえはいつも息をつぐこともないように
同じように歩んでいる
コチ コチ コチ
おまえは私をよくいらだたせ
よくいじめる
夜になるとたくさんの目を輝かせ
私のゆがんだ心をまるで見ぬいたように
にらみつける
コチ コチ コチ
私の心があせっている時
おまえがにくくなる
私の気持ちが落ち着いている時
おまえが一歩一歩歩むたびに
希望をもつ
コチ コチ コチ
今でもおまえは何の変化もなく歩んでいる
いつも変わりのないおまえを見て
にくんだり喜んだりする私を許せ
いつまでも私の心の変化を見守ってくれ
私も一歩一歩進んでいくおまえを見て
希望を持つことを誓おう

「起床」
松田善弘

五時五十分には目がさめる
なぜか 
それは必然的だ
僕はもっとぐっすりねむりたい
ねようと思えばねれるんだ
「カーン」の一撃によってバネじかけのように動く一年生
その瞬間に至るまでのさまざまな心理心境
最初の一週間は緊張
二週間目には他校生をうらやましく思い
三週間目には気持ちを変えて
四週間目には本校生らしくなる
夏休みもチョイと過ぎ 二学期がはじまった
一学期を終えてきたので
苦痛は感じない
寮生活も少しはわかったつもりだ
「カーン」「カーン」「カーン」「カーン」「カーン」
鐘の音はちょっと聞くと単調でいやなものだ
でもその単調な響きの中に何かあるんだ
今は僕もわからない でもきっと
 三年間の生活のうちに体得するのだ

「未熟な草」
町田 徹
親のもとを離れ
遠い所で修行する
小さな未熟な草
青い空をながめ励む
小さな未熟な草 雨の日も
 風の日も 自分ひとりで 
たえねばならぬ
小さな未熟な草
強く躍動する
未熟な小さな草

「別れ」
正木文男

雨がザァザァ降っていた
母が「さよなら」といった
僕は何も言えなかった
決してだすまいと思っていたものが
 つい出てきた
僕は何もいわず母と別れた
そして雨の中を歩いていった

「雨」
丸山美智子

夜中にふと目を覚ました
耳をすますと
ガラス戸を隔てた向こうから
かすかに雨の音が聞こえる
単純な音が
  真っ黒な空から
  真っ黒い雨が
   黒い地面にむかって
   一直線めざしておりてくる
   そして暗闇の中にすいこまれてしまう
いつやむともしれぬ雨音ぼんやりときいて
そんなことを頭にえがく
この闇もこのさみしい雨音も
私がもうひとねむりしている間に消えて
新しい一日が始まる時には
きっとすばらしい青空がこの空を独占してしまう
そして 雨はみんなに忘れられてしまう

「朝」
前田 進

しーんと静まりかえっている寮
その静けさ まるで昼間のことを忘れたように
静かにねむっている寮 寮はねむっている
今は六時 起床の鐘がしらけきっていた
空に
土に
 又寮にこだました
そら
 今日が始まる
未来への希望をこめて
寮は活動をする

「バラ」
小牧祥子

あの情熱的な花びらを
私はかけ足で追ってきた
濃い紅の底をのぞかせ
甘い香気を放ち
私をやさしく誘い寄せた
そして私は夢中でかけた
深紅の花びらを追って・・・・
一年 二年
 ・・・十六年間 くやしい!
みせかけの深紅に魅せられていた
十六年間が憎い!
この手でこの手で あの花びらを
 一枚残らず散らしてやる!
手をのばす 「いたい!」
とげによって傷つけられた
とげによって心に真実がはいりこんだ
魅せられていた十六年間が
今の私に真実を与えてくれた
今日も花びらは人を誘う
十六年前のように
紅の唇をのぞかせたまま
甘い香気を放つままに・・・・
たった一つ違うことは
私にとって
 単なるバラになったこと

「写真」
古賀善治

いつも僕を見つめていてくれる父
ある時は僕をなぐさめ
ある時は僕を苦しめ
ある時は僕に勇気をつけてくれる
僕は父の顔を見ていると不思議だ
力とファイトがでてくるのだ 父よ
いつまでも僕を見つめていてくれ
僕は臆病なのだ だれかにたよっていたい
ひとりでいるのが恐ろしい
父よ
 僕の心の中に入ってきて
そして僕の臆病な心を 追いはらってくれ

「苦」
小林章三

なぜ 
このように悩み苦しまねばならないのだ
自分が何をしたというのか
自分が悪いことでもしたというのか
なぜなぜ 
このように悩み
 苦しまねばならないのだ
考えるごとに 
苦が深まる
底なし沼に足を突込んだように
逃げられず 
ただ底へ底へと
鍵を解くと また
泉から湧き出る水のごとく あらわれ
 又 自分を悩ませ苦しませる

 苦
 苦
  どんな弱い人間といわれても良い
どんな卑屈な人間といわれても良い
ただ自分から苦を取りのぞいてくれ
ああ神よ
苦を苦を
あのアリを見よ あのように
小さなアリさえ
苦にぶつかりそして前進している
なんと哀れな自分よ
苦を求め
全速力で走るのだ
そしてかべを突き破るのだ
そこから 
喜びが楽が生まれるのだ
苦を求め 
前進だ

「ある心」
河津雅子

ある心を
いつか私は感じた
はちきれる若さや
たくましさは
私のそれではなかった
それは暗く
おそろしく
私をおおっていた
それがいつどこで どうだったか
理解するのは 不可能だ
ただ明白なのは
朝もやのような
しめつけられるような
そんな心だけだった
ある心はいつか私をおそい
私を迷わせた

「土」
石崎美香子

土よ
お前は何を考えている
人に車に
あらゆる動物にふまれて
時には いきおいよく何かが落ちてきたり
でも黙っている
でこぼこになったり
あるいは大きな穴があいたりする
誰もいたわってくれない
又 誰もそれを求めない
独りぽっちの土
だが
どんな大きなものでも
どんな力のあるものでも びくともしない偉大な土
広い自然で ただ一人でたちむかう
又 いろんな植物を育てる
やさしく愛情に満ちている土

「時計」
井上加代子

カチ カチ コチ カチ
シャー シャ シャー 
シュー トケイ トケイ トケイ
時計 時計
静まりかえった四つの机
カチ トン シャ カタ
毎日
にぎやかにあるいは美しく リズムに乗って歌っている時計
もし
おまえがここから
 この世から消えたら わたしはどんなに
私達はどんなになるだろう
生活は雑草が生えている野原の様に
つきあたり
からみあい
のけあい
失敗だけが生まれてくる
毎日おまえは
 1秒も休むこともなく
働いている
 いつ寝るの
ありがとう
私はおまえを
 おまえを ただ感謝するだけでは心残りだ
私はおまえを手放したとき
どんなにかかなしい思いをしなければならないか
ありがとう
ありがとう
いつまでも
 傷をしないで
私のそばにいて
 鳴いてくれ

「友」
林千恵子

親愛なる友
心のよりどころとなる友
立派な友
そんな友がほしい
しかしたとえいたとしても
なかなか
わたしのようなものは相手にしてくれない
それでも欲するならば
信頼される
尊敬されるように
 自分自身がまず努力して
それに値する友になることが大切だ

「無題」
橋本隆夫

僕らは寮生
あれはてた寮の
またすばらしき寮
まあたらしい伝統の中にあるこの寮
楽しきかな寮生活
僕らをひきつける
この偉大なる寮
僕等をいつまでもこの寮にひたらせよ
この偉大なる寮 ある時は二年生
 ある時は三年生に
しかられて又注意されてそして悩み
のびゆく僕等
先輩達と先輩達と学びたわむれ得る
この偉大なる寮 この偉大なる寮

「勉強」
長谷川憲克

(熊谷の帰りの汽車の中で)
暗く細く 
険しくしかも長く
そしてたよりなく
時間のない ただただ広いだけの
   手さぐりしながら
石橋をたたいて渡る盲人のように
しかも若い青春時代にと
闇はなお
深い深い闇に包んでしまう
この深い闇は
私をもがき苦しめ
ついにはあらぬ方向へと追いやる
弱き私を しかしこのたよりなさに
私を楽しみへと化していくのを覚える
これは又 心の喜びともなり
だんだん早さをます この乗り物のように・・・・

「故郷」
羽淵早苗

虫の音
風の音
雨の音
いろんなことに直面し
私は思い出す
田舎のこと
やさしく私の心をうけとめてくれる
人のいる
かなしいにつけ
うれしいにつけ
思い出す
故郷のしらべ
故郷の声
故郷のはげまし
がんばらなくては
一日一日進歩しなくては
でもそれは
目には見えない
耳には聞こえない
心には感じない
でも進歩していく
○○○○○1oずつ
私は早く見たい
聞きたい感じたい
私の心の成長を
私の体の成長を
そして ○の○○をうけ○○くれる
人のところへ
もっていこう
故郷の声にも
歌ってもらおう
喜びの歌を

「あの日あの時」
藤井健二朗

僕はあの日を忘れない
あの日の僕を忘れない
あの時僕は変だった
たしかに変だった
あの日の僕を
あの日の僕を
あれは卒業式の翌日だった
クラスのみんなが集まった
僕らは大いに楽しんだ
それから僕らは別れていった
楽しそうに
悲しそうに
又何気なく
今になって思い出す
あの校門を出たときを
あの校門を出たときを

「鳥」
新居英治

自然によって創造され育てられてきた鳥
彼女は今一魂の魂を宿している
誕生
彼等は自然からとざしていたかたい殻をやぶって
初めて俗世の空気に触れたとき
あまりの寒さに「ブルッ」と震え
この世の糧をほおばる
羽もはえていない彼
 ピィーピィー騒ぐ彼女
糧を与えられて満足げな笑顔
  鳥だ
やがて彼等は成長しどこかへ飛びさって行く
ある所で子孫を生む
そしてやっぱり彼等も自然にはぐくまれながら成長していく

「図書館」
青木初子

大学の図書館
今日初めて行ったら
一人だけが勉強していた
物音一つしない室 まるで社会からかけはなれたような
沈黙の世界
それほどまでに静かにしなければいけないのだろうか
一人一人の世界になっている図書館
私はファンになってしまった
そんな世界は又良いと思うし
でもなぜ良いかが不思議だ
勉強しやすいから
そんな単純なことではない
もっと何かがほかにある
私の心の動きが
そういう雰囲気にむいている
少しでもそんな世界を探したい
そんな孤独な感情が
いつでも走っている
私はそんな毎日を送っている

「生命」
安居院渡

一匹のバッタが遊んでいた
急に跳ねた
がもう遅かった
大きなハチがバッタを捕らえた
あたりを2、3辺回って
無限の空を高く高く飛んで行ってしまった
ああ
もうひとつの生命が
この地より昇化してしまった
しかし
この消えた生命より

 新しい生命ができるのだ
みんなそうなのだ
宇宙全体がそうなのだ
そして私達も

ここまで