国民の思想』
モラロジー研究所理事長
廣池学園理事長
廣池幹堂
  かって 日本人は清らかで美しかった
  かって 日本人は親切でこころ豊かだった
  アジアの国の誰にでも自分のことのように一生懸命つくしてくれた

八木秀次高崎経済大学助教授が、近著『国民の思想』(産経新聞社)
の「あとがき」で紹介している詩の書き出しです。
作者はマレーシア連邦の元・上院議員ラジャー・ダト・ノンチック氏
です。以下、要約すると-----

 何千万人もの人の中には少しは変な人もいたし、おこりんぼやわが
ままな人もいたが、そのころの日本人はおおらかでまじめで、希望に
満ちて明るかった。
 ところが、戦後の日本人は、自分たち日本人のことを悪者だと思い
込まされ、父祖や先輩は悪いことばかりした残酷非情なひどい人たち
だとまじめに思っているようだ。だから、アジアの国に行ったら、ひた
すらペコペコ謝り、私たちはそんなことはいたしませんと言えばよいと
思っている。
 そのくせ、経済力がつき、技術が向上してくると、自分の国や自分
までがえらいと思うようになってきて、うわべや口先では、済まなかっ
た、悪かったと言いながら、ひとりよがりの、自分本位のえらそうな態
度をする。そんな今の日本人が心配だ。
 自分のことや、自分の会社の利益ばかりを考えて、こせこせと身勝
手な行動ばかりしているヒョロヒョロの日本人は、これが本当の日本
人なのだろうか------

 今、わが国は、中国や韓国の反日デモに戸惑い、国内では凶悪化
する少年犯罪、若者の二ート化などで揺れています。その背景に教
育の荒廃があるのは明らかですが、本書『国民の思想』は、その原因
を「縦軸の哲学」の欠如としてみごとに描き出しています。
確かに、戦後六十年、私たちは利己的で、事なかれ主義で、その場
凌ぎの生き方をして、祖先から受け継ぎ、子孫に受け渡すべき歴史
や伝統をないがしろにしてきたのではないでしょうか。
 ノンチック氏の詩の最後は、こう結ばれています。

  こんなひとたちと本当に仲よくしてゆけるだろうか
  どうしてどうして日本人はこんなになってしまったんだ

「しかし」と八木氏は綴ります。「我々に立派な祖先がいる。そのこ
とを思い出し、この立派な祖先たちの美風を継承しようと私たちが思
い立ったとき、日本は再生するだろう」。それを願って書かれた本書
を、一人でも多くの心ある日本人に読んでもらいたいと思います。


本稿は、財団法人モラロジー研究所出版部発刊の『れいろう』(6月号)誌に掲載 されている 廣池幹堂理事長の「巻頭言」で、ご本人の承諾をいただき掲載をしております。
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