| この8月に、一本の興味深い映画『Iam日本人』が公開されます。製作の総指揮をとった森田健作さん(麗澤大学客員教授)が現代の日本人に訴えたい想いが、笑いと涙の中から観る者すべてに伝わってくる、感動的で楽しい映画です。 ヒロインは、カリフォルニアから日本にやってきた日系三世の留学生、エミー・ワタナベ。エミーが心に抱く日本は、義理人情に厚く、礼節を重んじる、ワビとサビと大和魂の国。その日本像は亡くなった祖父の話から培われたものです。エミーの父親は、牧場経営の傍ら剣道に励む武士道精神の持ち主。エミーも子どものころから竹刀を握っています。この物語は、エミーが憧れの日本に到着し、東京の下町で八百屋を営む遠縁のおじさん(アンクル・ケン)の家に下宿するところから始まります。 日本人より日本人的なエミーは、心に抱く日本のイメージとはあまりにもかけ離れた現代日本の姿と出会います。大学の入学式で大きな声で「君が代」を歌うのは、エミーただ一人。授業中に携帯電話でメールをしまくる学生たち。学費を親に出してもらい、アルバイトで稼いだお金は自分の遊びのためだけに使う同級生。他国の留学生から日本を批判されてもなんら反論できない、国家意識も愛国心もない軟弱な若者たち。エミーは愕然とし、あきれて、腹立たしさを覚えます。 しかし、祖父から教わった日本と日本人を信じ、アンクル・ケンに支えられて明るく前向きに努力し、近所の子どもたちに剣道を教えるようになります。やがて町内の祭りに目を向け、衰退の兆しが見え始めた商店街の復興のために皆で祭りを盛り上げようと呼びかけ、進んで汗を流します。エミーのがんばりが、仲間の学生、留学生、町の人々を動かし、なくなりかけていた地域社会の絆が取り戻され、皆の協力で盛大な祭りが実現します。商店街の旗と並んで日の丸がはためき、神社の境内で行われる剣道大会では声高らかに「君が代」が斉唱されます。エミーらが担ぐ神輿が商店街を練り進み、近隣の国々の民族舞踊がスクリーンいっぱいに繰り広げられます。 私は映画を観る機会はあまりありませんが、この映画は、昨年観た藤沢周平原作の『蝉しぐれ』と同様、日本人のよさを思い出させてくれました。日本人は本来、真面目で誠実で、思いやりの心が深く、和の精神や公共心に富むすばらしい国民なのです。この映画は、森田さんの若き日の青春映画とフーテンの寅さんをミックスしたようなコメディータッチに仕上がっていますが、底に流れる想いは真摯そのものです。一人でも多くの若者たちに観てもらい、日本人であることに誇りと喜びを持ってもらいたいと思いました。 なお、撮影は麗澤大学の学生食堂などでも行われ、本学の学生がエキストラとして多数参加しました。 本稿は、財団法人モラロジー研究所出版部発刊の『れいろう』2006(8月号)誌に掲載 されている 廣池幹堂理事長の「巻頭言」で、ご本人の承諾をいただき掲載をしております。 |
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