| 自立式電波塔として世界一の高さを誇る「東京スカイツリー」の一般公開が、五月末から始まりました。すでにオープン前から周辺は、世界一のタワーをひと目見ようという人々でにぎわい、東京の新たな観光スポットとしてたいへんな活気を見せています。 634メートルという高さもさることながら、スカイツリーの魅力は、随所に盛り込まれた日本の伝統美です。特に目を引くのが夜のライトアップで、「粋」をイメージした淡いブルーと「雅」をイメージした江戸紫の二色が毎日交互に点灯されます。日本刀のもつ「そり」を活かしたシルエットに合う粋と雅の装いは、東京伝統のガラス工芸「江戸切子」を彷彿させます。派手さはないですが、落ち着いていて飽きのこない、まさに塔全体で日本の伝統美を表現しているようです。海外からの観光客にも胸を張れる、日本の新たな顔といえるでしょう。 スカイツリーは日本の技術の結晶でもあります。三年半という短期間に大事故もなく、世界一の塔を完成させた技術力の高さは、海外にも大きく評価されています。日本ならではの技術と美意識を詰め込み、大地に力強く自立するその姿は、日本再生の象徴といえるのかもしれません。 今から60年前、日本は国家の主権を回復しました。しかし国家百年の計である教育と、その根源の憲法は、主権なき時代に占領軍が押し付けたものを守り続けています。いわば依然として日本は戦勝国に従属した「占領状態」にあり、自立した国家とはいえません。独立国に不可欠な、自国の主権はなんとしても守り抜くという強い気概が今の政治や外交・防衛にあるでしょうか。 戦後の廃墟から立ち上がったあの時の気概を思い起こさずして、震災復興はおろか、真の自立も独立も果たすことはできないでしょう。世界一の東京スカイツリーが完成した今こそ、日本人自身の自立の時です。 本稿は、公益財団法人モラロジー研究所出版部発刊の『れいろう』(2012年6月号)誌に掲載されているものです。 |