| 明治神宮の森は訪れるたびに心休まる、大都会のオアシスのような存在です。先日訪れてみると、参道の両側に大きな写真や絵画のパネルが並べられており、参拝客の目を引いていました。 今年は明治天皇が崩御されてから百年にあたり、7月30日には明治天皇祭が 行われます。明治45年のご崩御の際、世界中の新聞が、その功績を称える記事を掲載しました。「実に陛下の治世は、世界史においてほとんど比類ないものだった」と『ニューヨークタイムズ』は賞賛しています。 260年続いた徳川幕府体制からの大変革にあたり、日本は諸外国のような大きな犠牲を払うことなく、西欧列強に伍する近代化を遂げ、白人国家の大国ロシアを破る快挙も成し遂げました。当時の世界にとって「想定外」の事が日本によって実現されたのです。 日本の国柄を守りつつ、独立と近代化を果たすという大事業を進めるにあたって、明治天皇は「何を変え、何を変えてはならないか」を正しく判断され、日本が進むべき指針を国民に示されました。伊勢神宮が20年に一度、ご神殿を造りかえる式年遷宮のお祭りをするにあたり、ご用材の不足から、土台をコンクリートで固める案を重臣が上奏したところ、明治天皇は言下に却下され、「質素なご造営にて建国の姿を継承すべし」と指示されました。みずから断髪し、洋食に親しまれる一方、新生日本の基本方針である「五箇条のご誓文」や徳育の要となる「教育勅語」を示して、みずから率先躬行されたのです。 日本はその後、敗戦の焦土から、世界を再び驚かせる、奇跡的な復興を成し遂げました。当時の人々には、明治の精神が息づいていたのです。明治天皇のご威徳を偲び、その精神を現代に生かすところから、日本復興への国づくり人づくりを今一度、始めなければなりません。 本稿は、公益財団法人モラロジー研究所出版部発刊の『れいろう』(2012年6月号)誌に掲載されているものです。 |