| 日本の初出場から100年目となるロンドンオリンピックが、熱狂のうちに幕を閉じました。卓球やバレーボール、柔道、レスリング、なでしこジャパンと女子選手の強さが印象的で、みな寝不足も吹き飛ぶ、胸のすくような活躍を見せてくれました。日本人であることの「誇り」や「喜び」を久しぶりに感じたという人も多いのではないでしょうか。 今回のオリンピックは、開催国イギリスを世界にアピールする絶好の機会ともなりました。開会式はイギリスの伝統や文化の壮大さを巧みに演出する構成で、NHKの女性アナウンサーが「イギリス国民は、オリンピックを自国で開催できることを誇りに思うでしょうね」と実況するほど、見事なものでした。 半世紀前、日本でもオリンピックが開催されました。当時を知らない若い世代には、あの時の熱狂は想像もつかないでしょう。日本の社会や経済、国民意識にもたらした効果は、今大会の比ではありませんでした。敗戦の焦土から国民一丸の努力を重ねてきた中での開催実現は、復興という「坂の上の雲」を追いかけてきた日本人にとって、夢の一大イベントでした。数年も前から「東京五輪音頭」が国中に流れ、新幹線や高速道路、高層ビルが次々と完成し、東京の景色は一変しました。敗戦、占領を乗り越え、国際社会に「開催国」として認められたことは、国民に自信と喜びを与えました。オリンピックは まさに「戦後復興」の象徴となる出来事だったのです。 そのオリンピックを再び東京に招致しようという計画が進んでいます。2020年の 開催地は来年9月に決定となりますが、肝心の国内が一向に盛り上がりません。自国での開催には冷ややかな日本のメディアや文化人が、ロンドンオリンピックが開催するや連日熱狂しました。その落差には驚くばかりです。 五輪開催の経済効果を疑問視する声もありますが、その価値は金銭だけで計れるものではありません。日本のよき伝統やおもてなし文化、優れた技術と国民性を結集すれば、ロンドンを超える史上最高のオリンピックが実現できるでしょう。 それは国内外に「震災復興」を象徴づける機会となり、何より日本の子供たちに夢と希望を与える、絶好の機会となるはずです。閉塞感が漂う日本の現状に、かっての東京オリンピックの熱気を再びと思うのは、私だけでしょうか。 本稿は、公益財団法人モラロジー研究所出版部発刊の『れいろう』(2012年10月号)誌に掲載されているものです。 |