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山中伸弥・京都大学教授のノーベル賞受賞の快挙は、日本中を沸かせました。難病の治療や新薬開発の可能性を大きくひらく「夢の万能細胞」の開発は、世紀の偉業といえます。その業績がいかに世界を驚かせるものだったかは、開発成功から6年目の受賞という「異例の早さ」が物語っています。
受賞会見で語ったひと言に、山中教授の人柄が表れていました。「山中伸弥が受賞したことになっていますが、日の丸の支援がなければ、こんな素晴らしい賞はいただけなかった。まさに日本国が受賞したと、心の底から思いました」と。人間的温かみを感じさせる、謙虚な人柄に感銘を受けた人も多かったのではないでしょうか。 あらためて感じるのは、個々の日本人の優秀さ、「人材」の豊富さです。 この夏には、東京大学の加藤泰浩教授が苦心の研究の末、日本最東端の南鳥島近海に、ハイテク技術に欠かせない「レアアース」を高濃度に含む泥が大量に眠っていることをつきとめました。いずれ生産体制がととのえば、停滞しかけた日本のハイテク産業の「起爆剤」ともなりうる画期的功績です。
資源のない島国・日本が一躍、資源大国になる。そんな「夢」が現実のものとなるかもしれないのです。加藤教授は「子供たちに明るい未来があることを見せてあげたい」と語っています。
この「夢」の海底資源の存在を知って、中国が海洋進出を加速させています。尖閣諸島の領有権をめぐる争いも、こうした資源確保をねらっての、国家戦略だといわれています。
欧米に比べ、研究環境の厳しい中でも成果を挙げる優秀な「人材」、「技術」、そして豊富な「資源」。この世界に誇るべき日本の宝も、国家戦略なき現状では「宝の持ち腐れ」です。
多くの期待を集めた政権交代から今日までは、「政治空白」の三年間でした。見せかけの「政治主導」によって「国民生活」は混乱を深めました。原発事故と同じく「人災」と言っても良いでしょう。もちろんそこには、私たち国民の責任もあります。 今年は、日本最古の歴史書である『古事記』が編纂されてから、1300年の節目でもありました。連綿と続く「文化」、その文化に育まれた「人財」こそ、日本が世界に誇る大きな宝です。来年こそは、この「宝の山」を真に活かして、力強く未来を切り開く 年としたいものです。
本稿は、公益財団法人モラロジー研究所出版部発刊の『れいろう』(2012年12月号)誌に掲載されているものです。 |