日本の夜明け
モラロジー研究所理事長
廣池学園理事長
廣池幹堂
 新年、明けましておめでとうございます。
 平成の御代となり、はや四半世紀となりました。社会のさまざまな舞台で、
平成生まれの若者たちが活躍を始めています。

 平成元年、日経平均株価が3万8千円台と株価の算出以来の最高値
をつけ、日本経済はピークを迎えました。その後、バブルは崩壊し、平成生
まれの若者たちは、世界をリードする「強い日本」の姿を知らずに育ちました。
しかし、視点を変えれば、日本は今なお、世界をリードする強い国であることが
わかります。その源は、世界に類をみない独自の文化です。

 昨年の末、奈良国立博物館の「正倉院展」に足を運びました。精緻な文様
の瑠璃杯(るりのつき)や世界唯一の五弦琵琶など、人類の財産ともいうべき宝
物が、堅牢な城壁もない木造建屋で千三百年もの間、受け継がれてきたことは、
日本以外の国では「あり得ない」ことです。

 平成25年は日本にとって「再生」の年です。島根県の出雲大社では6〜70年に
一度、本殿を造り替える「大遷宮」が行われ、日本で最も尊いお宮である伊勢神宮
では、20年に一度の「式遷宮」が、奇しくも年を同じくして執り行われます。

 昨秋、伊勢神宮を参拝した際、遷宮を記念して新設された「せんぐう館」を訪れ、
 
千三百年その形を保ち続ける「外宮ご正殿」の原寸模型を目にしました。かって名
建築家のブルーノ・タウトが「伊勢は世界の建築の王座である。この建築は恐らく
天から降ったものであろう」と称しましたが、桧の素木に萱の屋根、華美な装飾の
ない、その気高い造りに圧倒される思いがしました。
 
 日本の古代人は万物すべてに生命をみとめ、社殿を新しくすることで、生命を
より強く清浄にし、日本の国の若返りと永遠の発展を願い続けてきました。常に
「新しく」かつ「変わりなく」という発想と文化継承の方法は、世界のどの国にもない
日本唯一のものです。

 伊勢神宮の内宮がお祭りする天照大神は、太陽を象徴する女神です。これま
での政治の混迷にもようやく陽の光が差し、「日本の夜明け」が近づいたようです。
世界に誇る文化を見直し、日本の国の「若返り」への希望を胸に、初日の出を
迎えたいものです。
本稿は、公益財団法人モラロジー研究所出版部発刊の『れいろう』(2013年1月号)誌に掲載されているものです。
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