| 立春が近づき、厳しい寒さの中にも、少しずつ陽が長くなってきたように感じられます。春の訪れをいち早く知らせる梅のつぼみも、膨らみかけてきたようです。
科学技術の発達により、いまや大都市では夏が涼しく、冬は暖かく、一年を通して快適な暮らしが送れるようになりました。冬の寒さもどこ吹く風と、コンビニでアイスクリームを買い求める若者たちの姿も目にします。 いつでも、どこでも不便のない生活ーーーーーー。その中で、私たちは日本人として何か大切なものを忘れてはいないでしょうか。 日本人は古来、春夏秋冬の気候の変化や作物の生育をこまやかに見つめ、暮らしの節目として祝い、祀ってきました。二月の和名である「如月(きさらぎ)」の由来は、まだ寒さが残るため衣を重ねて着る「衣更着」、あるいは草木が生え始める「生更木」など諸説ありますが、いずれにしても、自然の変化に対する日本人の繊細な感覚が表れています。 四季の訪れに感謝し、「生かされて生きる」日本人の自然観は、自然を敵視し、その克服をめざしてサイエンスを発展させてきた欧米とは対照的といえます。 自然と共生する独自の文化を守りながら、高度な文明社会を築いてきた日本。世界に類をみないこの国柄を、はるか昔から連綿と受け継ぎ、伝え続けておられるのが皇室です。 極寒の夜も明けきらぬ元旦の午前五時半、天皇陛下が天地四方の神々を拝する「四方拝」から宮中一年のお祭りは始まります。そして太陽の力が最も弱まる十二月中旬には、太陽神であり皇祖神である天照大神のご神霊を慰め、さらなるご加護を願って祈り捧げる「賢所御神楽の儀」が行われます。 天皇陛下は今年、傘寿(80歳)を迎えられます。数多くのご公務に加え、皇室伝統の祭儀を忠実に受け継がれる陛下のご日常は、我々国民の想像を 超える激務というほかはありません。変わりゆく日本の暮らしの中で、変わらず 国民の幸せを祈られる皇室の伝統を、若い世代に伝えていかねばなりません。 2月11日の「建国記念の日」は、この世界でも稀な国柄を思い、”日本人に生まれた喜び”をみなで共有できる祝いの日としたいものです。 本稿は、公益財団法人モラロジー研究所出版部発刊の『れいろう』(2013年2月号)誌に掲載されているものです。
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