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暑い夏がやってきました。子供にとっては楽しい夏休みの始まりです。毎年このころになると、アメリカでの体験を思い出します。 アメリカの子供はひと足早く、6月末から3ヶ月の夏休みを迎えます。そこで一斉に始まるのが「サマーキャンプ」。日本でキャンプといえば1泊か2泊の林間学校ですが、100年以上の歴史のあるアメリカでは3週間や4週間のプログラムも珍しくありません。その内容もスポーツからアートまで実に多彩です。大自然の山や湖畔で、世界中から集まった同年代の子供同士が共同生活をしながら、「自立心」「公共心」「忍耐力」「責任感」などを一切「教え込まれる」のではなく、自然に身に着けていくのです。
あるキャンプにわが子が参加することになり、現地まで送りにいきました。大都市ボストンから徐々に人里離れた奥へ奥へと入っていくと、突然景色が開けて、子供たちのにぎやかな声が聞こえてきます。周りは山と空、森と湖以外何もありません。不安がる息子をインストラクターに託して帰りました。ところが後日、様子を見にいくと、真っ黒に日焼けした姿で「来年も絶対にきたい」と目を輝かせるのです。そこには一回りも二回りもたくましく成長したわが子の姿がありました。心身を鍛えるこうした教育システムが、アメリカを 大国ならしめる「人材」を生み出す源泉になっているのだと実感しました。
日本はアベノミクスによる経済復興により、グローバル社会で戦える人材育成のあり方がようやく議論され始めましたが、「知育偏重」の戦後教育を根本から見直すことなくして、どんな計画も結局は「絵に描いた餅」です。 遅ればせながら、私どもモラロジー研究所は昨年から、大自然の中で十日間、心身を鍛える「モラロジーサマーキャンプ」を始めました。「きずなができました」「親の大変さ、大切さを知りました」と感想を語る子供たちの表情は実にイキイキとしています。今年はさらに多くの参加を期待したいものです。 アメリカで「サマーキャンプ」が始められた100年ほど前、日本を訪れた外国人はみな驚きの声をあげたといいます。特別な教育施設もないのに、国内の隅々でちゃんと心身ともに健やかな子供が育っていたからです。このよき伝統や教育はどこへいってしまったのでしょうか。国家の再生は、教育の再生からです。真に自立した人材の育成をめざして、着実に歩みを進めていきたいものです。 本稿は、公益財団法人モラロジー研究所出版部発刊の『れいろう』(2013年8月号)誌に掲載されているものです。 |