| 2020年の夏季オリンピック・パラリンピック開催地は「TOKYO」―――。 前回の失敗を生かし、安倍首相をはじめとする官民一丸となってつかんだ今回の快挙は、単に東京という一都市のものではないでしょう。半世紀をかけて日本が培ってきたものが、久しぶりに世界から「正当な評価」を受けたことに、私は静かな感動をおぼえました。 あるIOC委員が「日本のプレゼンテーションは一つの物語を見ているようだった」と評したように、招致団のスピーチは「オール日本」の団結力を感じさせるもので、中でも高円宮妃久子さまの気品に満ちたスピーチは、ご皇室をいただく日本の国柄の素晴らしさを世界に印象づけました。人生の逆境を「スポーツの力」で乗り越えた宮城県出身のパラリンピック選手、佐藤真海(まみ)さん。そして日本人が受け継いできた「おもてなし」の心。経済だけではない、目に見えない精神文化の素晴らしさを、世界中の国々が認めた瞬間でした。 長い間、足元の宝物に気づくことができず、日本人の自覚も自信も持てずにいた日本。かって石原都知事が五輪招致を掲げた時、識者やマスコミのほとんどは「意味がない」「できるわけがない」と批判や冷やかしのオンパレードでした。それが今はどうでしょうか。 あの瞬間、熱狂して日の丸をふり、母国開催の喜びを分かち合う若者の姿があちこちで見られました。招致成功による何よりの収穫は、若者たちに「やればできる」という自信と希望を与えたことではないでしょうか。 昭和39年の前回は、何年も前から「東京五輪音頭」が街中を流れ、五輪開催という目標に向かって日本中が熱狂し、一つになりました。迎えた開会式の日、秋晴れの東京の空に、自衛隊が五輪のマークを描いたシーンは、今も忘れられません。 半世紀ぶりに私たちは再び、国民挙げての一大目標を手にしました。かってそうだったように、7年後に向けてこれから、若者に限らずあらゆる世代の人々の「夢」と「希望」が膨らんでいくことでしょう。未曾有の震災からの「復興」へ、この絶好の機会を「日本再生」のきっかけにしていきたいものです。 本稿は、公益財団法人モラロジー研究所出版部発刊の『れいろう』(2013年11月号)誌に掲載されているものです。
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