| 日本の食文化「和食」が昨年末、ユネスコの「世界無形遺産」に選ばれ、ますます「WASHOKU」が海外で脚光を浴びています。料理の本場フランスはいま、空前の日本食ブームといわれます。 お米を中心とし、季節の新鮮な素材をもちいる和食は栄養バランスに優れ、欧米では理想の健康食として以前から注目されてきました。加えて今回は、自然の恵みを尊ぶ「いただきます」や「もったいない」など、日本人の精神性を体現した「食文化」としての価値が、世界に評価されました。 もっとも、日本人にとって和食は、何も特別なものではない普段の食事です。 そうした「当たり前」のことが、世界の人々にとっては驚きであり、宝物に映るのです。「WASHOKU」はいまや日本が誇る「クールジャパン」の一つといえますが、はたして私たちは、そんな足元の宝の価値にどれだけ気づいているのでしょうか。 「当たり前を当たり前とするのではなく、日本人はもっと、自分たちのすばらしさに気づいてほしい」 昨年11月、教育者研究会50周年を記念して行った「道徳教育シンポジウム」で、パネリストのルース・ジャーマン・白石さんの言葉が心に残りました。ハワイ出身のルースさんは、日本滞在26年。二人のお子さんを育て、経営者としても活躍する女性であり、本誌『れいろう』の連載では、日本人が世界に誇れるオンリーワンの魅力を毎月、分かりやすく伝えてくださっています。 残念なのは日本人自身が、そうした足元にある、すばらしさに気づいていないことです。街でファーストフードに列をなす若者たちの姿を目にすると、日本の食文化は彼等にきちんと受け継がれていくのだろうかと、ふと不安に感じることがあります。 「和食」とは、単に寿司や天ぷらといった独特の料理を指すものではありません。それは古代から自然を尊重し、自然と共に生きてきた日本人の食文化です。国際社会は、そうした伝統を日本のソフトパワーとして高く評価しているのです。いまを生きる私たちには、先人が長い時間をかけてはぐくみ、伝えてきた「DNA」を次の世代にしっかりと引き継いでいく義務があります。 「WASHOKU」を遺産とせず、「生きた文化」として守り伝えていくために、まずは大人が足元にある”宝”を自覚したいものです。 本稿は、公益財団法人モラロジー研究所出版部発刊の『れいろう』(2014年2月号)誌に掲載されているものです。 |