| 昨年、岩手県花巻市で行われたモラロジーの青年大会の席で、久しぶりに陸前高田市のSさんにお会いしました。Sさんは東日本大震災で、お父様をはじめご家族を亡くされています。震災から1か月後に生まれた長女の歩未(あゆみ)ちゃんも、はや2歳半。「未来に向かって歩め」と名前に託された思いを受け止めるように、元気に走り回る姿が印象的でした。 将来、歩未ちゃんが成人するまでに、あの美しいふるさとを復興させ、「この日本に生まれてよかった」と思える国にしなければならない。そう感じました。 3年という歳月がすぎましたが、復興は思うようには進んでいません。瓦礫の処理一つとっても、総論賛成、各論反対で、実際に受け入れを表明したのは、石原都知事時代の東京都を含めてごくわずかでした。 自分以外の人のつらさや悲しみを、わがことのように分かち合う精神は、世界に賞賛される日本人の美徳でした。戦後の「民主平和教育」によって、そうした伝統的な精神は失われ、今では個人の自由と平等、権利の主張ばかりです。安倍首相が経済再生だけでなく、教育再生も併せて日本復興の柱と位置づけていることは、非常に意義あることです。 昨年末、小中学校で「道徳」を教科に格上げすることの方針が出され、また、選択制となっている高校の「日本史」科目を必修とする検討も始まりました。道徳教育と歴史教育は、人づくりの根幹です。戦後教育の大改革ができるかどうか、日本は「岐路」を迎えています。 「教師たるもの、まず国史を知らざるべからず」。モラロジーを創建した廣池千九郎は十代のころ、教育者をめざして師事した郷里中津の儒学者・小川含章からこう指導され、歴史研究に力を注ぎました。25歳で著した。 『中津歴史』では、日本で最初に「アーカイブス」の設置を提唱しています。 この千九郎の生誕記念の集いが今年も中津で、全国からたくさんの参加者を迎えて行われます。このほど新築した廣池千九郎中津記念館は、地域社会の「教育」の場として広く活用いただくことを期待しています。 これからの日本を背負う次世代の若者たちにどんな教育を施すか。戦後の日本の誤りの一つ「民主平和教育」を見直す時がきました。今こそ日本人本来のよき国民性を引き出し、復興への足がかりとしなければなりません。教育再生は待ったなしです。 本稿は、公益財団法人モラロジー研究所出版部発刊の『れいろう』(2014年3月号)誌に掲載されているものです。 |