| 4月11日は、明治天皇の皇后である昭憲皇太后のご命日です。 今年、明治神宮では百年祭が厳かに執り行われました。 黒船来航からわずか数十年で新政府を立ち上げ、欧米列強に負けない、近代国家を建設した明治の日本。「世界史の奇跡」とも称される一大改革を国を挙げて進めていく、その国づくりの象徴となられたのが明治天皇です。昭憲皇太后は常にそのお側にあって支え、激動の時代を共に歩んでこられました。 「金剛石もみがかずば、珠のひかりはそはざらむ」で始まる御歌があります。女性たちに向け、怠ることなく修学に励み、徳を磨くことの大切さを諭されたもので、全国各地の女学校で詠唱されました。はやくから女子教育全般に心を砕かれ、徳目を詠まれた御歌は、道徳教育のさきがけといえます。 また赤十字活動に対するご支援にも力を注がれました。日清戦争では、敵味方の区別なく傷病者の診療を行った赤十字の精神を奨励され、日本赤十字の発展に大きく寄与されました。明治45年、ワシントンでの万国赤十字総会では、現在の貨幣価値で3億5千万円もの大金を寄付されています。のちにその資金を基に「昭憲皇太后基金」が創設され、今も毎年4月11日のご命日には、基金の利息が世界各国の赤十字へ配分されています。 世界史に燦然と輝く明治の日本。国を挙げての近代化が推し進められる中、日本女性の模範として、国民の母として昭憲皇太后は心を砕かれました。しかし、そのご事績を知る人は今、ほとんどいません。 晩年の明治43年に詠まれた御歌です。 大空のものかとみゆる富士の嶺は すめらみ国のしづめなりけり どこから見ても美しく、大空にそびえたつ富士山。その雄姿は、我が国を鎮め護る霊山として、また日本の国柄、日本人の国民性の象徴として仰ぎ見られてきました。昨年は世界文化遺産にも認定されました。 時には雲に覆われることがあっても、富士山はもとの姿のまま、まったく変わりません。日本は戦後60年、誤った教育によって自信と誇りをなくし、本来の姿を見失っています。あの富士山のように、美しくありつづけてほしいーーー。昭憲皇太后の御心に思いを馳せずにはいられません。 本稿は、公益財団法人モラロジー研究所出版部発刊の『れいろう』(2014年5月号)誌に掲載されているものです。 |