| 新たな年が幕を開けました。東日本大震災から4年目を迎え、今の日本は幕末維新、敗戦に次ぐ「第三の復興」の只中にあります。昭和39年の東京オリンピックが戦後復興の象徴として語られたように、5年後のオリンピックはぜひ、復興した日本の姿を世界に印象づける機会にしたいものです。 50年前の日本は、明日は必ずよくなるという希望のもと、日本を立て直そうという活力があふれていました。それが未曽有の復興を成し遂げる原動力になったのです。 では、これからの復興は何を力としていけばよいのでしょうか。 昨年、中央教育審議会の答申により、平成30年度から小中学校の「道徳」が教科化される見込みとなりました。道徳は戦後、日教組などから「価値観の押し付け」と反対にあい、正式な教科とされずにきたものです。規範意識や公共心をはぐくまない教育の結果がどんな社会を生み出したかは、誰の目にも明らかでしょう。 かって幕末の大混乱から近代国家建設をめざす力となったのは、志ある下級武士たちでした。なかでも吉田松陰の松下村塾からは、高杉晋作や久坂玄瑞、伊藤博文、山縣有朋など、日本という公のために身命を賭す志士が数多く巣立ちました。 30歳で刑死した松陰が、松下村塾で教えたのはわずか1年あまり。そこで授けたのは単なる知識ではありません。 黒船以来の国難に対して、対応に遅れ、右往左往するだけの幕府。日本の国を思う至誠を松陰は身をもって示します。外国の事情をこの目で確かめようと密航を企てます。 かくすればかくなるものと知りながら やむにやまれぬ大和魂 国禁を犯し、獄につながれても松陰は希望を失わず、目の前の一人ひとりと、最後まで「師弟躬行」の姿勢を貫きました。「凡そ生まれて人たらば、宜しく人の禽獣に異なる所以を知るべし」。松陰が志士たちの心に火をつけた「活きた教育」が、世界を驚かせる明治近代化の原動力になりました。 この教育に学ぶことが、今の私たちに最も必要なことではないでしょうか。今年こそは日本の心を取り戻し、戦後の総決算による第三の復興を実現させたいものです。 本稿は、公益財団法人モラロジー研究所出版部発刊の『れいろう』(2015年1月号)誌に掲載されているものです。 |