| 日本古来の「和紙」が昨年末、ユネスコの「世界無形文化遺産」に選ばれました。一昨年の「和食」につづく2年連続の快挙です。 クワ科の植物「楮(こうぞ)」などを用いる伝統製法で漉かれる和紙は、洋紙にくらべて丈夫でやわらかい特徴があります。1000年を超える保存性があることから、世界中の文化財の修復に用いられ、ルーブル美術館や大英博物館でも重宝されているといいます。まさに手漉き和紙は、日本のみならず、世界の文化伝承に欠かせない技術です。 今回の登録では、和紙づくりの技術が世代から世代へと継承され、地域の社会的な結びつきを育んでいる点が、高く評価されました。 日本で和紙づくりが始まったのは、5、6世紀ごろといわれます。それから1300年あまり続いてきたということは、後継者を育て、引き継ぎ、和紙を使いつづける文化自体も伝承してきたということです。人から人へ、世代から世代へと技術を守り伝えてきた先人があればこそ、和紙はこの21世紀まで残ったのです。その価値を現代の日本人はどれほど理解しているでしょうか。 受け継ぐべき歴史と文化を教えてこなかった戦後教育により、代を累ねて継承されてきた日本の伝統が、今、まさに途切れようとしています。日本人としての生き方、継承してきた文化を後の世代に伝えていく「累代教育」が今ほど必要な時はないでしょう。 2月11日の「建国記念の日」は、神武天皇が柏原宮で即位されたことに由来します。神武天皇は「天の下に住むすべての人が、一つ屋根の下の家族のように仲良く暮らす国」を建国の理想とされました。その精神を代々に受け継がれているのがご皇室であり、その和の伝統があればこそ、和食も和紙も育まれてきたのです。 ご皇室を尊重し、古きよき伝統や価値観を、時代に応じ、発展させながら継承していく。そんな日本人の生き方そのものが、世界に類をみない文化遺産といえるのではないでしょうか。 海外に評価されて初めて、自国の宝に気づくようでは、技術も文化も継承していけません。世界遺産を単なる形だけの“遺産”としないために、「累代教育」を実践し、その価値をしっかりと次の世代に伝えていく、その責任を感じずにはいられません。 本稿は、公益財団法人モラロジー研究所出版部発刊の『れいろう』(2015年2月号)誌に掲載されているものです。 |