| 「日本の道徳を学びたい」とベトナムから来日し、モラロジー研究所で研修していたAさんがこの春、祖国へ帰ることになりました。 名門のベトナム国家大学ホーチミン市校を抜群の成績で卒業し、モラロジー研究所のベトナム人職員第1号となられたAさんは、にこやかな笑顔で美しい日本語を話す才媛です。 経済成長著しいベトナムでは、日本への関心が高まっています。未曽有の敗戦から、わずかな間に、オリンピックの開催国となるほどの復興を遂げた日本。その原動力となった勤勉、誠実な国民性、道徳経済一体となった日本の復興に学ぼうと、Aさんはやってきました。「ベトナムと日本の架け橋になる」との志を胸に、これからの活躍が期待されます。 麗澤大学の卒業生で、松江市にあるお茶の老舗を継ぐNさんは、日本の文化をアジアに発信しようと奔走している一人です。戦後、日本人の食生活が欧米化する中で、日本茶の需要は減っていきました。“のれんを守りきれるのだろうか“。そんな危機感から、日本のお茶を海外で売るという逆転の発想が生まれました。 今、タイでは、Nさんが手がけた日本茶のカフェが、ちょっとしたブームになっています。人気の秘密は「茶道」を究てきた日本ならではの作法や飲み方などをあわせて伝えることにあるそうです。生菓子とのコラボレーションも果たし、「お茶を通じて、日本の伝統文化を海外に伝えたい」と語る、Nさんの思いは尽きることがありません。 敗戦で一度は焦土となった日本が、なぜ短期間のうちに復興を遂げ、経済大国となりえたのか。世界はその源が、日本の文化にあり、国民性にあることに気づき、真剣に学びはじめています。 一方、当の日本人は、その価値にどれだけ気づけているのでしょうか。 現在の日本の繁栄を形作ったのは、戦前の教育を受けた世代です。戦後70年を迎え、古きよき日本を知らない世代が主となる今、復興は正念場を迎えています。教育再生は待ったなしの課題です。 今年は「麗澤教育」がスタートしてから80年。創立者・廣池千九郎が遺した「知徳一体」「道経一体」の教育理念を戦前、戦中、戦後と一貫して守り続けてきた、私たちの存在価値が今ほど問われる時はありません。 満開の桜並木を新入生たちが歩く季節を迎え、決意を新たにしました。 本稿は、公益財団法人モラロジー研究所出版部発刊の『れいろう』(2015年4月号)誌に掲載されているものです。 |