| 今から約120年前、28歳の廣池千九郎は、真夏の暑いさなか、住吉神社に参拝し、誓いを立てました。「ウソを言わず、正直を貫きます」「すべての人に慈愛の心を持ちます」「住吉神社のご恩を忘れません・・・」。 それから苦学と研究のすえ、60歳で総合人間学「モラロジー」を創建。その開発活動の出発点に選んだのも大阪でした。 生き馬の目を抜くような商いの地で、この学問を普及できれば、全国を開発しうるーーー。スタートラインとなる拠点として昭和11年7月、市内に開設されたのが大阪講堂です。「大阪は日本の商工業の中心地で日夜忙しいのでみんな非常に疲れている。家族連れで講堂に来てお話を聞き、心を休め、肉体は浴場をつくり家族で楽しくゆっくり入り、銀杏の大木の下に椅子をつくり、木陰で涼しい風にあたって、次の日に働けるよう、力と勇気を蓄えるところにする」 千九郎の思いを受けて青々と茂る銀杏に見守られ、講堂はいつも人々の熱気と活気にあふれていました。「あんたの弔事は私が読んだげるわ」「あほいうな。わしが読むんや」関西独特のざっくばらんな人づきあいの温かさを、講堂に来るたび感じることができました。 千九郎の思い、その教えを守り継いできた方々の思いが柱の1本1本にまで染み込み、訪れる人をホッと包み込む、そんな独特の温かさありました。 家内にとっても、大阪講堂は思い出深い地だったようです。結婚を機にモラロジーに接し、初めての連続に多少の戸惑いもあった新婚のころ。大阪講堂で皆様の温かな雰囲気に迎えられ、「これならやっていける」と気持ちを新たにしたそうです。家内も私も、大阪講堂には感謝してもしきれません。 今年7月の「大阪講堂80年 感謝の集い」では。住吉神社の権宮司様にお越しいただき、すばらしい祝詞を奏上いただきました。 たくさんの思い出と共に、惜しまれながらこの夏、80年の歴史に幕を下ろすこととなりました。日本は当時も今も、転換期にあります。これからの新たな時代に向けて、大阪での新たな歴史が始まります。 本稿は、公益財団法人モラロジー研究所出版部発刊の『れいろう』(2015年11月号)誌に掲載されているものです。 |