| 秋の一日、サンマリノ共和国のマンリオ・カデロ大使を学園にお招きして、講演会を行いました。世界で五番目に小さい国サンマリノは、ローマ皇帝のキリスト教迫害から逃れたマリノが、信仰を守る人々とともに、イタリア半島に建国した「世界最古の共和国」です。カデロ大使が「世界最古の君主国」日本にきたのは四十年前。今では百五十三か国の駐日大使を代表する駐日外交団長もつとめ、大がつくほどの知日家、親日家です。 自国の文化と独立を守り続けることがどれだけ大変か、カデロ大使はよく知っています。それだけに建国から二千六百年以上も続く、日本のすばらしさがわかるのかもしれません。 ところが、そんな自国の魅力に、日本の若者たちは気づいていません。建国の神話もよく知らない、伊勢神宮にも行ったことがない。そんな世代がいかに多いかです。 建国の神話が現代に息づき、万世一系の皇室のもと、よき文化、よき国民性が何千年もの間、連綿と受け継がれている国は、ほかにありません。武士道に貫かれたサムライの精神を、世界は高く評価しています。 敗戦にともなう占領政策によって、私たち日本人は、戦前を否定する歴史観を植えつけられました。学校では「日本は悪い国だったが、戦争に負けたことで良い国になった」と教えます。七十年の戦後教育の影響がどれだけ根深いか、今回の安全保障法案の論議によっても、示されました。 国際情勢は刻々と変化し、アジアの安全保障は重大な危機を迎えています。ところが今の日本は、町内で何か起きても「うちは危ないことは一切するなという家訓があるので」といって見舞金を出し、「わが家が危なくなったら、皆さんが命がけで助けてくださいね」と頼んでいるようなものです。自分は何もせず、お金だけ出して、安全保障を他に押しつける。そんな国を、誰が信頼するでしょうか。 国民の生命と財産を守り、国の秩序を確かなものとする安全保障は、「究極の公益」といえます。日本にはその国力にふさわしい責任と役割が求められています。 日本が本来の姿を取り戻し、国際平和に積極的に貢献する日を、カデロ大使をはじめ世界の人々は期待しているのではないでしょうか。 だから日本は世界から尊敬される マンリオ・カデロ著 本稿は、公益財団法人モラロジー研究所出版部発刊の『れいろう』(2015年12月号)誌に掲載されているものです。 |