| 平成28年の新しい年が始まりました。読者の皆さまのますますのご健勝とご多幸をお祈り申し上げます。 昨秋、安倍首相は、日本の首相として初めてトルクメニスタン、キルギスなどの中央アジアを歴訪しました。これらの国はすべて、東西交通の大動脈だった「シルクロード」の沿線上にあり、中国にとっては裏庭のようなところです。安倍首相の積極外交の成果に期待が集まっています。 多くの人やモノ、文化を東西につないだシルクロードの存在は、日本人にもよく知られています。しかし400年以上前、日本から「海のシルクロード」を船で渡り、ヨーロッパを訪問した「天正遣欧少年使節」の活躍は知られていません。まだ13〜4歳の伊東マンショら4名は、出港から3年後、たどりついたイタリアで熱烈な歓迎をうけ、ローマ教皇と謁見します。また、スペイン絶頂期のフェリペ二世から歓待を受けるなど、当時の世界のリーダーに日本の文化・文明を堂々と伝えました。まさにアジアで最初の「ヨーロッパへの大使」としてその役目を果たしたのです。 彼らが活躍した16世紀は、マゼランやコロンブスが相次いで「新大陸」に到達した、大航海時代でした。そのような中で「黄金の国ジパング」からローマへ海を渡った十代の少年たちの勇気と情熱、サムライ精神にヨーロッパの人々は驚嘆したのです。少年たちは、最新の文化・文明に出会い、印刷技術や地球儀など多くを日本に持ち帰りました。彼ら少年大使の存在こそ、日本発展の原点です。 明治維新、戦後の復興と、日本は危機のたびに人の和、人の力で乗り越えてきました。天然資源が乏しいハンディを、教育と努力で補い、世界でもまれにみる人の資源で、成長してきたのが日本です。 安倍首相はスピーチのなかで、日本は「国づくりは人づくり」を大切にしてきた国であり、人づくりによって中央アジアの国づくりに貢献したい、と述べました。「道徳の退廃と国民の道徳心の衰退とは、すなわち国家の滅亡を意味する」と、モラロジーの創健者・廣池千九郎は喝破しました。創健者の生誕150年を迎えた今年こそ、真の「国づくりは人づくり」の実現に邁進していきたいものです。 本稿は、公益財団法人モラロジー研究所出版部発刊の『れいろう』(2016年1月号)誌に掲載されているものです。 |