| 観光で日本を訪れる外国人の数は昨年、初めて1.800万人を超え、今年は過去最高が見込まれています。特にアジアからが倍増で、薬や日用品までが、“爆買い”されています。こうした「メイド・イン・ジャパン」への圧倒的な信頼は、一朝一夕にできたものではありません。勤勉、正直、忍耐といった美徳、技術、伝統文化など、先人・先輩から累代教育によって連綿と守り伝えられてきたものが今、花開いているのではないでしょうか。 一方、ゴールデンウィークには多くの日本人が海外へ旅行へ出かけました。連休が大型化した今、5月3日がなぜ祝日なのか、関心もないという人がほとんどではないでしょうか。 昭和22年のこの日「日本国憲法」が施行されました。憲法とはその国のあり方を定めた、国家の“背骨”といえるものですが、日本国憲法は、アメリカ占領軍(GHQ)が一週間で起草した、いわゆるマッカーサー草案が元になっています。この事実は、占領が解かれる昭和27年まで国民にまったく知らされませんでした。占領軍がメディアに対して厳格な検閲体制をしき、憲法が米国製であることをひた隠しにしたからです。 アメリカは日本が二度と自国の脅威とならないよう、戦争の罪悪感を日本人の心に植え付けるための周到な占領政策を行いました。その仕上げともいえるのが、この新憲法です。8月15日を軍事的な敗戦とするならば、アメリカに憲法を押し付けられた5月3日は、精神的な敗戦をした日といえるでしょう。 かって明治憲法をつくる時、当時のリーダーたちは、こまかな条文よりまず、この国のかたちとはどういうものかを徹底的に議論しました。現在の憲法はそうした議論もなく制定され、戦後も自分たちで検討することをしてきませんでした。そうして日本は安全保障、外交、家族のあり方をふくめて混乱をし、かってない国家的危機を迎えています。 この4月、アメリカのケリー国務長官が現職閣僚として初めて、広島の原爆慰霊碑を訪ね、献花しました。オバマ大統領の訪問も検討され始めています。70年続いた戦後の歴史がうねりのように変わり始めています。 社会環境も国際情勢も、憲法ができた時の前提とはすでに大きく様変わりしています。「第二の建国」をめざして、21世紀にふさわしい国のかたちを今度こそ、自分たちの手で、日本人の責任でつくっていく時を迎えています。 本稿は、公益財団法人モラロジー研究所出版部発刊の『れいろう』(2016年6月号)誌に掲載されているものです。 |