| 幾世にもわたり、癒しと安寧をもたらしてきた神聖なこの地を訪れることができ、非常に光栄に思います。 ―― 米・オバマ大統領 日本の源であり、調和、尊重、そして平和という価値観をもたらす、精神の崇高なる場所にて ―― 仏・オランド大統領 ここ伊勢神宮に象徴される日本国民の豊かな自然との密接な結びつきに深い敬意を表します。ドイツと日本が手を取り合い、地球上の自然の生存基盤の保存に貢献していくことを願います。 ―― 独・メルケル首相 5月、G7各国の首脳は伊勢志摩サミットに先立って、伊勢の神宮をそろって訪問し、その印象を自筆で書き残しました。 内宮の御正殿での御垣内参拝ながら、「二拝二拍手一拝」の作法は求めず、自由に拝礼してもらう形となりました。ところが、拝礼を終えて安倍首相が頭を上げたところ、他の首相たちはまだ深々と礼をしており、あわてて頭を下げ直した。そんなエピソードが漏れ伝わっています。 異教徒である先進国のリーダーたちも、初めて訪れる神宮に、何か感じるものがあったのでしょう。戦前、世界に初めて神宮のすばらしさを紹介した建築家のブルーノ・タウトは、日本文化の本質は“簡潔”“明確”“清純”にあるとし、「(神宮は)日本が世界に贈った一切のものの源泉」と称賛しています。 深刻なテロや移民問題に悩む首相たちだけに、経済大国として世界をリードする日本の礎に、こうした神宮の存在があること自体が驚きであり、ここに日本らしさの“原点”があることを感じたのではないでしょうか。 明治に迎えた遷宮の際、重臣が最新技術のコンクリートを使って土台を固める提案をしたところ、明治天皇は即座に却下され、「質素なご造営にて祖宗建国の姿を継承すべし」と諭されたというエピソードがあります。時代の変化にあわせて何を変え、何を変えずにいくのか。守るべきものとは何かという範を示され続けたのが歴代の皇室です。 明治維新から一世紀半。国づくりのビジョンが再び問われる今、何を変え、何を守っていくのか。私たち国民一人ひとりが、今こそ日本人の原点を思い起こすときではないでしょうか。 本稿は、公益財団法人モラロジー研究所出版部発刊の『れいろう』(2016年8月号)誌に掲載されているものです。 |