| あさみどり澄みわたりたる大空の 廣きをおのが心ともがな 日本の国を「世界史の奇跡」ともいわれる大発展へと導かれた、明治天皇の御製です。澄みわたる大空のように、広々とした心でありたいものだー。詠まれた時期は、奇しくも日露戦争に突入した明治37年。ご即位以来、数々の困難に直面しながらも近代国家の建設に邁進してこられた明治天皇の、一点の曇りもないお志が感じられます。 今年は明治維新から150年目に当たります。それは他国の血で血を洗うような革命とは比ぶべくもありません。維新の立役者といわれる人の多くは、それまで特権階級であった武士でした。西欧列強による植民地化の脅威が迫る中、日本の国を守るため、自らの特権を捨てて新しい国づくりに励む決意をした先人たち。その心を一つにまとめたのが青年君主明治天皇です。その存在があってこそ、一滴の血も流れることなく、たちまちにして版籍奉還や廃藩置県が成ったのです。 現代もまた、歴史的な転換点にあります。それは日本の近代史上、明治維新と昭和の敗戦からの復興に次ぐ、第三の大改革といえるのではないでしようか。 激動の時代を歩んでこられた昭和天皇の崩御の直後、悲しみが癒える間もなく即位された今上陛下は、「よき国民性」を体現されながら、象徴天皇としてのあり方を追求してこられました。以来30年にわたり、その激務に全身全霊で取り組んでこられた陛下が示された、譲位のご意向。これは私たち日本国民に対する大きな「宿題」でしょう。 皇室はいつの時代も国民の幸せと世界の平和を祈ってこられました。親が子を慈しむように国民を思われる皇室のあり方は、第125代の今上陛下に至るまでまったく変わっていません。それは敗戦のときの昭和天皇のご事跡や、近年の災害時における両陛下のお姿を見ても明らかでしょう。わが国の先人たちはそうした皇室に深い敬愛の念を寄せ、長い時を共に歩んできたのです。現代の平和で豊かな日本、そして世界を魅了する日本文化も、その根底には皇室の存在があることを忘れてはなりません。 日本国とは何か。国家にとって、国民にとって皇室はどのような存在であるのか。日本国の将来はどうあるべきか−。それは政治家だけに任せることではありません。国民一人ひとりが考えるべきことであるのです。 本稿は、公益財団法人モラロジー研究所出版部発刊の『れいろう』(2018年01月号)誌に掲載されているものです。 |