| 平成29年9月、麗澤中学.高校生が使用する新食堂「けやき」が竣工しました。 1200名を収容できる柱のない大空間は、昼食時には全校生徒の笑顔と元気な声で満たされます。機能的で開放感にあふれた新食堂は「食事がいっそうおいしく感じられる」と好評です。音響などの最新設備も備え、講演会などのイベントにも活用できるようになりました。旧来の食堂に慣れ親しんだ卒業生にとっては目を見張るような近代的な設備ですが、「同じ釜の飯」を食べるという麗澤教育の伝統は、現在も生きています。 本校の前身である道徳科学専攻塾は、昭和10年に開設しました。当時は全寮制であり、「日常生活の中で道徳を学び、実行する」という理念のもと、授業を行う教室だけでなく、食堂や寮なども「教育の場」とされました。創立者は、育ち盛りの塾生たちの食事に非常に気を遣い、自ら試食を重ね、親がわが子を思うように愛情のこもった食事を作るよう、職員を指導しました。それは「体の成長のために十分な栄養を」ということにとどまらず、「心の教育」を期してのことでした。塾生たちも配膳や皿洗いなどの手伝いを通して、そうしたことを身をもって学んでいったのです。 当初の木造の食堂から二代目の食堂に建て替えたのは、昭和41年12月のこと。特に平成4年に一部通学制を導入してからは、学校生活は大きく変わりましたが、昼食時には、全校生徒が食堂に集います。食堂に掲げられた「大学之道在明明徳(大学の道は明徳を明らかにするに在り/中国の古典[大学]の言葉)」という扁額も、創立当時のままです。 私自身、麗澤高校在学中にはたくさんの思い出があります。先輩や後輩、そして同級生と寝食を共にする中では、生涯の友を得ることができました。そこには教科書にも書かれていない、人間としての大切な学びがありました。まさに「人間道場」であったのです。 学校とは、単に知識を得て帰っていくだけの「人生の通過点」ではありません。この新食堂においても生徒たちが感謝の心や思いやりの心、そして生涯の友情を育んでいってくれることを願ってやみません。 本稿は、公益財団法人モラロジー研究所出版部発刊の『れいろう』(2018年02月号)誌に掲載されているものです。 |