| 先日、アメリカの知人を案内して久しぶりに横浜を訪れました。 ショッピングモールやテーマパークなどの近未来的な建物が立ち並ぶ中に、赤レンガ倉庫をはじめとする歴史的建造物も数多く残された人気スポット、みなとみらい地区。観光客でにぎわう、のどかな町並みの一角には、海上保安資料館(工作船資料館)がひっそりと建っていました。平成13年12月22日に発生した「工作船事件」に関する船体や回収品等を保存・展示するものです。 それは九州南西海域で発見された不審船が、海上保安庁による停船命令を無視して逃走を続けた末、銃撃戦に発展し、ついには自爆と思われる爆発を起こして沈没したという事件です。正当防衛として応戦した海上保安官も3名が負傷しています。その後、引き揚げられた船には多くの武器弾薬が積まれており、北朝鮮の工作船であったことが明らかになっています。 見学に訪れる人は、弾痕も生々しい工作船の実物に驚き、海を守ってくれている人たちの苦労や、こうした船で多くの日本人が拉致されていったという現実を、誰もが思い知らされます。私たちが平和にうつつを抜かしている間に、大変な脅威が身近に迫っていたのです。 これは氷山の一角でしょう。わが国固有の領土である尖閣諸島の周辺でも、中国による領海・領空侵犯が繰り返されています。 5月3日には、71回目の憲法記念日を迎えます。日本国憲法の前文には「平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した」とありますが、この現状は、果たして平和といえるのでしょうか。刻々と変化する世界情勢の中、制定以来ただの一文字も変わっていない日本国憲法は、世界から隔絶された「ガラパゴス憲法」と言わざるをえません。集団的自衛権のためにつくられた国連に加盟しながら「集団的自衛権は憲法違反である」などという議論がまかり通る日本の現実を、世界はどう見ているのでしょうか。 世界の現実をしっかりと見つめ、責任ある国際社会の一員として、今こそ誇りと気概を取り戻すときです。 本稿は、公益財団法人モラロジー研究所出版部発刊の『れいろう』(2018年05月号)誌に掲載されているものです。 |