| 「れいろう」は創刊60周年を迎えました。「道徳は家庭から」を提唱する本誌は、「一家だんらんの楽しく語り合うときの話題の一つに」という願いから生まれました。私自身、小学生のころから親しんできた本誌が還暦を迎えるとは、感慨深いものです。 この60年で、日本の社会は大きく変化しました。人権尊重・自由平等をことさらに強調する戦後の風潮は、行き過ぎた個人主義を引き起こして、「自分ファースト」「自分オンリー」の人間を生んできたのではないでしょうか。安らぎの場であるはずの家庭の中ですら、親による乳幼児の虐待など、考えられないような事件が起こる世の中になってしまいました。家庭崩壊、国家解体の危機です。 そうした中、皇太子殿下は、ご結婚満25年に際してのお言葉の中で「お互いの顔の見える人間関係が希薄になりつつあると言われており、人と人とのつながりがこれまで以上に大切な時代になっている」「人と人とのつながりの基礎となるものが、家族、家庭なのではないか」と述べられました。 家庭は教育の出発点であり、親は最高の教師です。家族から無償の愛を注がれてこそ、子供は自分の居場所を見つけることができるものです。また、ここで人間関係を学び、躾を受けていなければ、社会人としての自覚も責任も芽生えることはないでしょう。今、「異性と付き合うのも結婚するのも面倒」といって、人間関係を築けない若者が増えているのは、大人に責任があるのです。 家庭や結婚に対する考え方も多様化していますが、どんなに時代が変わろうとも、人間生活の基本は変わりません。そして、子供たちには「よき家庭」をつくってほしいという、親の願いも変わることはありません。家庭の重要性を、もう一度考えたいものです。 「21世紀の家庭像」とは、どうあるべきか----------。『れいろう』誌では、今後も家庭教育と累代教育のあり方について、読者の皆様とともに考え続けていきたいと願っています。 本稿は、公益財団法人モラロジー研究所出版部発刊の『れいろう』(2018年08月号)誌に掲載されているものです。 |